
一年に一度の女児のための祭事、「ひな祭り」。
女の子の健やかな成長を願って、ひな人形・内裏雛・親王飾りなどのお人形を飾ったり、ごちそうを用意するなどして祝います。
鋭い寒さが和らぎ、花々がほころぶころに訪れる祝いごとであることから、春の代名詞とも言える催しであると言えるでしょう。
ひな人形をお飾りになるときに欠かせない存在が「桜」と「橘」の木花。
橘とは、白い花と小さな実をつける柑橘系の樹木です。
ひな人形に向かって右側に桜を、東側に橘を飾ることが一般的とされ、左近の桜・右近の橘と称されることでも知られています。
ここで、飾る位置と呼び方が一致しないために、アレっと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
これは、ひな人形が「京都御所」内部に存在する紫宸殿(ししんでん)をモデルとした作りであることに由来するためで、御所内では、親王様から見て紫宸殿東側に桜が、西側には橘が植樹されています。
つまり、ひな人形を飾るときの花の位置もまた、おひなさまからの視点で考えられているということになるのです。
また、左近の桜・右近の橘という呼び方は、宮中の警固などを行う近衛府である左近衛・右近衛が、この2種類の木花の近くに配陣されていたことが始まりと言われています。
では、ひな祭りに桜・橘を飾りとして設けることにはどのような意味合いが込められているのでしょう。
桜と橘には、古来から「魔除け」「邪気払い」の力があると考えられてきました。
橘には「不老長寿」を願う役割もあるとされ、そのどちらも健やかに過ごすための象徴であるとされています。
童謡などにも代表されるとおり、桃の花を用いて代用することもありますが、これもまた、桃に邪気払いの霊力が強く備わっているためと考えられています。
健康と成長に感謝と願いを込めて木花を飾り、楽しいひな祭りを迎えましょう。